シカ01
「〜〜〜〜〜〜〜あ〜〜〜無理!できない」 私はそう叫んでゴロンと横になる。 ここは川原。私のお気に入りの場所。市街地から遠いので、散歩好きのひとくらいしか通らない、とても静かなところ。 今日も静かだ。 川を撫でて届く風が心地いい。私のスカートがふわりと揺れた。 −パズルリング− 「!」 いつの間にか眠ってしまったようだ。 がばっと体を起こして髪の毛をさわる。 えーっと…? 「あ…、寝てたのか、私。幻術かけられたのかってくらい、寝たなぁ。あはは」 ねっころがってすぐ寝るなんて神業だわ。もう日が傾いてきてる。 「…おまえさぁ…独り言はげしーのな。なおせよ」 すぐ横で声がしたので、ビクッと体が跳ねた。 そろりと声のする方へ頭を動かした。 「シカマル…いたの…はぁ驚いた…んもう!脅かさないでよ!」 「てゆーか、来た時点で気づいて起きろよ」 シカマルは本を読んでたらしく、持っていた本を閉じた。 私は今日のシカマルをみて違和感を覚える。 うーん。なんだろう…髪型…同じだし… あ。 「シカマル、上着着てないんだ。寒くないの?」 「……」 私がそういうとシカマルはあきれたように私を見ていた。 「…」 目が合うと、シカマルの視線は私のひざの方へ降りていくので、私も目で追った。 上着は私のひざの上においてある。 「。…お前もよぉ…女なら、こんな風の強い日にスカートでねっころがってんなよな…」 「あ!」 そういえば寝る前にスカートが風で… カッ! と顔が赤くなるのを感じた。 シカマルは自分の上着でスカートが舞い上がらないように抑えてくれたようだ。 は、はずかしい…。 「あ、それはどうも……その…危ないところを…ありがとうございました。」 ごにょごにょと言いながら私は上着を簡単にたたんで差し出した。 「どーいたしまして」 ダルそうに言いながら受けとった上着を着込む。 「シカマルはどうしてここに?私に何か用だった?」 「いや…近くにきたらがいたからなんとなく」 わたしは話しながら、あることを思い出していた。 「あ!あーーー!」 手の中に有ったはずのアレがなくなっている。 手を裏返して見るものの結果は同じ。 「…今度はなんだよ…」 うるさい、と言いたげにシカマルはいう。 「う、あ、あの、これくらいの!四つで!大切な…あ〜〜とにかく!」 「…とりあえず落ち着けって。何言ってるかわかんねーって。」 落ち着けたらこんなにあわてないって! どうしよう!失くしたら二度と手に入らないのに。お気に入りなのに。 「う〜〜〜」 「!泣くな!めんどくせーな! これだろ、さがしもん」 といって目の前に差し出してきたのは探していたアレ。 とは言っても私が持っていたときとは大きく形状がことなり… 「わぁ!!!あった!!!しかも戻ってる!!!」 「めずらしいもん、もってんな〜。パズルリングか」 彼の手に光ってるのは私のパズルリングだ。 最初の任務のときに依頼人が工芸士で特別に作ってくれたのだ。 世界にひとつだけ、しかも自分にとって最初の任務の記念品。愛着がある。 四つの細いリングが複雑に絡まってひとつのデザインをつくりだしている。 ひょんなことで崩れてしまってからというもの、毎日元のデザインに戻そうとしていたんだが私には難しかった。 本来なら知恵の輪みたいなもので、崩してもとに戻すのが面白さなのだろうけど…そんな余裕はない。必死。 なので、シカマルの手の中にある、久しぶりにみる完成品は、懐かしい友との出会いの様でもあり(笑) 「うわ〜〜〜すごい。ありがとう!これ、シカマルが?」 私が持つと崩れてしまいそうなので、シカマルの手ごと引き寄せてよくみる。 「そうそう、こんな形だった〜〜」 「、自分で持てよ…」 「え〜だってそんなことしてまた崩れたら〜〜」 「めんどくせーな。そんなもろくねーよ。ほら」 ズイッと私に指輪を近づけてくる。 ピカッ。 ひらめいた! 「じゃぁさ。私の指にはめてよ。そしたらとりあえず家まではこのままでしょ?」 うん。いい考えだ、! シカマルから手を離し、右手を差し伸べる。 「………………」 シカマルはちょっと間をあけて私の手首をつかんだ。 さっきも思ったけど、シカマルって、手、おっきいなぁ…。 「…どこの指がいいんだ?」 「薬指がぴったりな感じ」 懐かしくて、指輪ばかり見てたんだけど、なかなかはめてくれないので、顔を上げてシカマルを見る。 シカマルはなんだか照れてるようで。 夕日のせいかな?と思ったんだけどそうでもないようで。 (なんだか指輪交換してるみたいだな…) 思った瞬間、顔が真っ赤になる。 (あ、あれ?そんなつもりじゃぁ…) 「…薬指だな…」 ぼそりとシカマルがつぶやいて、私は我に帰った。 「は!ああ、やっぱヘーき!普通に持って帰る!」 照れ隠しに意味なくあはは、と笑いながら右手を引く。 「ん?」 シカマルは離してくれなかった。 見るとすごく真剣な表情をしたシカマルがいた。 「シ、シカマル…?」 ドキドキドキドキ 心臓がすごく動いてる。息も苦しくなってきた。 沈黙がすごく怖い。 「……考えてみたんだけどよ…」 ふーっとため息をつきながら、シカマルが切り出した。 「何を?」 なるべく冷静を装って私は返事する 「どーもめんどくせー方向に話がいくんだよ。」 「ふ、ふーん。…何が?」 「考えが。」 「?よく話が見えないんですけど。」 少しドキドキが薄れてきた。 夕日も綺麗だし、なんだかロマンチックだから、告白でもされるかと思ったよ(笑) そんなことになったら困るんだけどね。今、誰かと付き合うとか考えられないし。 「どんなこと考えてこまってんの?」 「…めんどくせー女だな、察せよ。」 「?わからないよ。ちゃんと順序だてて話してみなよ」 今の会話で何をどう察せばいいんですか? 第一、シカマルが面倒だって思うことっていっぱいあるじゃん。 再び、はあ。とシカマルはため息をついた。 「まったくなんで俺がこんなことを…ガラじゃねーっての。」 「ん?」 よくわからないことをつぶやき、下を向いたかと思ったらこっちを見なおした。 「俺、が好きなんだよ。めんどくせーけど、しかたねー」 …!? え、そうなの!?あ、あれ?めんどくさいの?好きなの?仕方ないの?どれ!? にわかに私の頭は混乱。 「いいか?」 「うん」 「は俺のこと好きじゃねーかもしんねぇけど、少なくとも嫌われてはないと思う。」 「うん」 「言うのはもっと待とうと思っていたんだが…は恋愛ボケしてるからちゃんと言っとかないとわかんねーだろうから」 「うん?」 ん!恋愛ボケってなによ! 文句を言おうとする私に気がついてシカマルがめんどくさそうにいう。 「黙って聞けよ。質問はあとで聞くから…」 「…わかった…」 またため息をつくと話し始める。 「俺は、お前がすきみたいなんだよ お前が特に俺をすきだって確信はなくても、俺はそれでもいいんだ。 これから好きになるかもしんねーし、大体の場合は付き合ってから好きになるらしいしな。 だからつきあってほしいんだよ。とりあえず。 今まで見たく他のおとこに付きまとわれずにすむぞ。 だってたくさんから選ぶなんてめんどくせーことは嫌だろ? そうしようぜ。」 「うん。」 私はついうなずいた。 「じゃ、決まりだな。」 …………………。 あ、れ? 最後にシカマルが「そうしよう」って言ったから流れでうんっていちゃったけど…。 あ、あれ? 珍しくよく話すシカマルに驚いていて、話の内容は二の次になってた。 「取り消しなし。」 帰るか、とシカマルは立ち上がった。 日はかなり傾いている。 もうすぐ沈むだろう。 そうすると夜が来る。 川原を並んで歩いている。 私はさっきのことを必死で考えてる。 シカマルと付き合うことになっちゃった。 こ、こまったなぁ、付き合うのホントかな…誰かと付き合うんでももっと先の話だと思ってた。 どうしたらいいのかわからないよ… 「」 「え?あ、何???」 シカマルが私を見て意地悪そうに笑った。 「いろいろ考えんな。に眉間のしわはにあわねーし」 「う」 おでこに手を当ててみた。いつの間にしわが…。 「………人間はバランスをとりたがる生き物らしいぜ。」 脈絡なくそういってきたので私はまた混乱する。 「考えるのはの仕事じゃねーのかもな。面倒だけど、これから俺がかわってやるよ」 …そういうバランス…。たしかにね、私は考える前に動くタイプですけどね! 「ふ、ふん!」 反論できないのでこれが精一杯。 「そ、そうだ、指輪。返してよ」 「ほい」 渡された指輪が朝見たときのように崩れていた。 「え〜〜〜。どうして〜〜〜、もどして〜〜」 がっかりして指輪を見つめる。 「は戻せない。俺は戻せる。見事なバランスだな」 「指輪、なおしてくれたら好きになるかも…?」 「指輪、貸せ」 シカマルが口をとがらせるので「や〜〜だ」と調子にのって軽く逃げる。 こうやって一緒にいたりすると恋人になれるのかな… 良くわからないけど、シカマルとならいいか。 私の手の中でパズルリングがシャラシャラ音を立てていた。
パズルリング。持ってるんですが直せないんです。
あ〜あ。誰かに直してもらいたいなぁ…と書きました。
思えばアニメでシカマルを見てしまったばかりにこんなになってしまったのです。
一目ぼれだもん!!好き!
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